私の小説に買い手がついた

私の小説に買い手がついた。売った。売ってから

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考えたのである。

もう、
そろそろ、
ただの小説を書くことはやめよう。

慾がついた。

人は生涯、
同一水準の作品しか書けない。

コクトオの言葉と記憶している。

きょうの私もまた、
この言葉を楯に執る。

私は無学な作家です。

二十年間、
恥ずかしい痩せた小説を、
やっと三十篇ばかり発表しました。

二十年間、
あなたはその間に、
立派な全集を、
三種類もお出しなさって、
私のほうは明治大正の文学史どころか、
昭和の文壇の片隅に現われかけては消え、
また現われかけては忘れられ、
やきもきしたりして、
そうして此頃は、
また行きづまり、
なんにも書けなくなりました。

ニキビ名をゼロニモ・ルジエラと云いて、
西班牙の産なるが、
今や此世に望を絶ちて自ら縊れなんとす。

いかがです。

この裂帛の気魄は如何。

いかさまクライストは大天才ですね。

その第一行から、
すでに天にもとどく作者の太い火柱の情熱が、
私たち凡俗のものにも、
あきらかに感取できるように思われます。

熱いところを、
といかにも鼻持ちならぬ謂わば粋人の口調を、
真似たつもりで澄ましていた。

やがてその、
熱いところを我慢して飲み、
かねて習い覚えて置いた伝法の語彙を、
廻らぬ舌に鞭打って余すところなく展開し、
何を言っていやがるんでえ、
と言い終った時に、
おでんやの姉さんが明るい笑顔で、
兄さん東北でしょう、
と無心に言った。

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