それから私はこう考えた

それから私はこう考えた。文学に於いて、

難解はあり得ない。

難解は自然のなかにだけあるのだ。

文学というものは、
その難解な自然を、
おのおの自己流の角度から、
すぱっと斬っ(たふりをし)て、
その斬り口のあざやかさを誇ることに潜んで在るのではないのか。

先生、
と呼ばれる事さえあるのです。

ショパンを見捨て、
山上憶良に転向しましょうか。

貧窮問答だったら、
いまの私の日常にも、
かなりぴったり致します。

こんなのを民族的自覚というのでしょうか。

書いているうちに、
何もかも、
みんな、
くだらなくなりました。

ニキビ聾になったように平気で、
女はそれから一時間程の間、
矢張り二本の指を引金に掛けて引きながら射撃の稽古をした。

一度打つたびに臭い煙が出て、
胸が悪くなりそうなのを堪えて、
その癖その匂いを好きな匂いででもあるように吸い込んだ。

旅行でも、
出来れば手ぶらで汽車に乗れるように、
実にさまざまに工夫するのである。

旅行に限らず、
人生すべて、
たくさんの荷物をぶらさげて歩く事は、
陰鬱の基のようにも思われる。

荷物は、
少いほどよい。

生れて三十二年、
そろそろ重い荷物ばかりを背負されて来ている私は、
この上、
何を好んで散歩にまで、
やっかいな荷物を持ち運ぶ必要があろう。

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